【WJ記事_11】パンフレットの存在価値-その1-(2021/6/25_125号)

コロナによりパンフレット(紙、ダウンロード)の重要性が増す
標準的な作りのウェブサイトではうまく表現できずパワーを失っているケースも


─ コロナ禍だからこそパンフレットがきっかけをつくり必要とされる

  パンフレットは年々必要性も低くなり、来店してもそれはそれで別の営業ノウハウが別で生まれているので、商談終わりがけにお見せしてお渡しするだけで終わることが多いツールになってきました。
本来は、映画とも違う、プレゼンとも違う、独特な雑誌風をお客様が見て、読んで、理解して、行きたいなと思わせるパワーがあるものです。むしろこういうご時世こそ、有効なのではないかと思います。とりあえずパンフレットだけ欲しいという人がこれから一定数出てくるでしょう。ウェブサイトを見ても、安く作ったウェブサイトを見れば、細かいデザインが洗練されずチープにみえます。その際、会場に行くかというと、意欲が上がらずに行かない人は行かないのですが、サイトに対する不満はあっても興味があるままの人は、来店予約ボタンの代わりに資料請求ボタンを押すようになります。
実際に、いまだに資料請求ボタンは押されています。
  私もクライアントによっては資料請求ボタンはいらないですよ!パンフもいらないですよという会社もありますが、予算があればパンフを作った方が良いというのが私の考えです。
理由の1つは色々なタイプのお客がいるからで、来店に及び腰な方には、魅力的な資料をつくり、好きになってから来店してもらう流れが創れるからです。
2つ目は、パンフを作ることで、コンセプト、商品、サービスなどが再整理する良いタイミングになります。(ウェブサイト作りと紙パンフ作りではクリエイターの癖が違うので考えも変わります)また、どういうパンフレットが良いかという前に、今一度こういうご時世だからこそ、重要性が増していること理解してもらいたいと思います。ゼクシィが何件回ろうとかそういうことではなく、即決しにくくなり、資料だけ送ってくださいや、親との相談をしないといけなくなる可能性が上がったり、年内に挙げることに対して色々な理由で及び腰になったりすることをパンフレットが助けてくれるからです。



─ ウェブの落とし穴

  パンフレットやチラシは充実させたほうがいい時代がまた来たと思います。あとは教育スキルなどの問題もあり、プランナー皆が口八丁、手八丁物事を上手に説得できる力があるかというと、そうとは限らないので、パンフレットの後押しが必要になるのです。
 業界では、パンフレットをなくしてウェブだけでいいのではという意見もあると思います。しかし、ウェブサイトの会社は、一部の会社を除くとフォーマットが決まっていて、写真が並んでおり、コンセプトという場所があり、そうすると別にその店の強みなどは関係なく、単純に見せるだけ。
確かに読む方からすると読みやすいかもしれないけれども、読みやすいのがゴールではなくて、行きたくなるのが資料請求の大事な目的のひとつなので。あるいは一回行った後に、もう一回見たときにいい意味の納得感があるものになっているか。カスタマージャーニーごとに、初動で見た人にとっての魅力、来店予約直前の人にとっての動線、一度来館した人が後でもう一度見たときの魅力などあまり考えられて作られておらず、その割には技術料が高いので、代わりにライティング料が安かったり、フォーマットが固定化され、2社、3社見ても同じ。大手のポータルサイトが売っている、汎用フォーマット風のサイトも同じです。
実際のところ二度見る価値がないサイトもあるのも事実だと思います。これならゼクシィnetで十分となるわけです。意図的に整理整頓された情報になっていないので、お客の受け止め方はこちらがコントロール出来ません。そういう意味ではパンフレットやパンフレット風に作ったHPやツールはしっくり入ってきやすいのです。 ウェブサイトの世界で働くデザイナーが、ある程度の水準を超えた高額のデザイナーあるいは、たまたま駆け出しで安いけれども能力的に秀でた人以外は、どうしても決まった枠に入れることばかりで、情景描写というか、その店のことを肌で感じてもらおうとかそういう意識でデザインをしないことがほとんどです。
 例えば、その店の大事にしている気持ちを表した背景を作るとか、あるいはその店のハードのデザイナーのデザインセンスを生かしているなどがあると、その店に行った時の親和性が高くなるのです。でもそういうことを度外視して、自社の広告を作るときの魅力をただ単にそこでもらった情報をもとに単純にフォーマットに当てはめ、色指定だけして組み込んでいく。そうすると、その店があたたかいイメージをなぜ持っているのか、あるいはシャープであるのか、そういうことをひとつひとつ詰めてデザインを決めるべきですが、そういうことは考えられていないことが多いと思います。



─ 良いパンフレットの条件とは?ハード・ソフトの強みを表現できているか

  ひとつの考え方として紙のパンフレットを作成し、その世界感をもとにウェブに生かしていくのがいいと思います(※反対派もいますが)。紙とウェブと形がまったく違うわけですから、見られ方が違うので、全く同じものがベストとは限りませんが、思想は生かしてつくるのがいいでしょう。(アクション導線については、紙の理論とは違う)
良いパンフレットの条件としては、多く必要だと思われるのは、ハード系の三大強みみたいなもの、ソフト系の三大強みみたいなものがしっかりと、ビジュアルと文章で理解されるような作りになっていることだと思います。
例えば、強みがアクセスの場合、その一言で言っても電車の路線がすごく便利なのか、車がどうなのか、そのバランスがいいのか、欠点がどこにあり、欠点をつぶすにはどういう表現をすればいいのかです。実は、車だとインターチェンジから遠いですよというケースがあったとします。その話題に“触れない”という選択肢を取ったり、他の駐車場が大きいことを表現したりなど色々な利点は見つけられるものの、そういったものを決まったフォーマットにのっとり掲載したり、グーグルマップを付けることで利便性を上げるのと、紙のパンフレットは違うので、マップの範囲や何を中心にするのか、要素は何を入れるかで全く変わってくるわけです。こうして考えたものがHPに載る。HPだけ考えても、グーグルマップを載せるだけではない。グーグルマップも便利なので入れますが、それだけではない。
こういう風に表現するとゲストも来やすいよねなど、こういう風に注目してもらえば、新郎新婦にアクセスの良さを感じてもらえるみたいな。マップ一つとっても、仕組みだけが立派なマップや、グーグルマップをリンクさせるとかがゴールではないのが、森山が考えるブライダルマーケテイングです。 仮に最寄り駅が無人駅で、そこには2時間に1本だというところもあるのです。でも隣はターミナル駅でタクシーで5分だという時に、どこまでの範囲の地図を書くのかということになるかで印象が大きく変わります。
でもそこまでウェブの場合は考えられて作られていないことが結構多い。もちろん式場側に優秀なスタッフがいれば、それを言えばいいのですが、クリエイターサイドで、式場の方が感心するようなものが出せる確率が低いのがウェブサイト作りの現状。
紙は紙で古いけれども、目を付けるポイントが違うので、こうしたアイディアを考えられるクリエイターが近いものを出してくる印象もあります。


<最新情報はウエディングジャーナルにて掲載中>

サービス情報

NEWS

4D BLOG