ー POINT ー
・ゼクシィリニューアルでお金の使い方が変わった
・結婚式は「やらない」or「何かやる」がスタンダードな時代へ
・エンタメ力とそもそもの商品特性を理解した戦略を組む
─ 2024年とゼクシィリニューアルを振り返って
2024年を振り返ると、大きな変化として、「お金の使い方が変わった1年」だったと感じます。
これまでは式場を中心としたブライダル業界はずっとゼクシィ中心の集客で動いてきましたが、コロナ等で価値観は激変したものの、集客基盤はある程度維持されていました。
しかし、2月のゼクシィリニューアル後、厳しい予想はしていたとはいえ、多くの式場が想定以上に集客が落ち込みました。もちろん引き続き集客が良い店もありましたが、厳しい店は今までやらなかったことをやってみてさらにうまくいかなかったり、何をしたらよいかわからずどうしようもなくフリーズしたりしました。
また、都市部、大手集中型になり、その中でも大きく序列が変わったり、本当に激変した1年だったと思います。
1月には能登地震があり、リニューアル前の最後の稼ぎ時の正月商戦も市場は冷え込み、2月に多少回復したかと思ったら、3月以降一気に市場が冷え込み、5月も山ができず、結果として12月に至るまで、23区内など一部の大都市以外は大幅ダウンの1年になり、現状の状態に落ち着くまで時間かかったり、一部の元気なお店以外は本当に苦しい1年で「来年の目処が立たない」という状況が続いています。
また、フォト婚市場は飽和状態のはずが参入者やそれに伴う広告は増え続けています。そのためコロナが明けたにもかかわらず、フォト婚はさらに微増が続いています。
式場検討の情報を入手する前にフォト婚情報が乱立するため、対抗手段としてのプレゼント婚、大型の来店特典がネット上に蔓延し、さらに効果の落ちたネット媒体が効果を補填するためにメディアが式場回遊による米店特典の金額も増えてきて、
結果として広告費用が無駄に増大し、競争にさらされてしまった式場の利益はどんどん落ちていました。
一方で、人手不足により撤退に近い状態になったり、あるいは人が出せないから新規枠が減ったり。
あるいは試食をすべきだができなくなったり、予約を3日前までにしてくれなど、今までやれたことができなくなるという、そういう苦しい1年というのが多かったと思います。
さらに、市場の半分以上を占めるゼクシィが満を持してリニューアルしましたが、ゼクシィの狙いと違ったのか、金額面の折り合いがつかなかったからか、
クライアントたちの集客手段が多様化して、ゼクシィを見る前の広告メディアが増えた結果、婚姻組数の減少よりも市場の減衰のスピードが増してしまい、
市場のバランスが変わりにくい大都市の大型店舗以外では難易度の高い市場が形成されつつある一年でした。
─ 2025年の展望について
2025年が明るくなることは、このブライダル業界にはもうないと見ています。あるとすれば、結婚式から撤退する会社が同時に何十社も一斉に出てくることで、残った会社が少しはましになるのですが、カタチを変えて何らかの形で存続して、競争の激化はあまり変わらないでしょう。
さらに「やらない」という選択肢や、フォト婚などの代替品が市民権を得てしまいました。
そして結婚式を挙げることを選んだ新郎新婦も「友人ゲストを呼ぶべきか」「ご祝儀をもらっていいのか」悩む時代になっています。
「やらない」または「何かやる」がスタンダードの時代になり、「披露宴」は多くの選択肢の中の一つに過ぎなくなりつつも、かつ経済的なことや人間関係上、
挙げたい人たちは全く今まで通り進み、むしろ平均単価も上がってそれなりに楽しい、あるいは盛大なものをやりますが、そうじゃない人はさらにそうでなくなっていくみたいな状態が来年はもっと進むだろうと思います。
2025年の問題はそこから輪をかけて、問題は大きくなるでしょう。富裕層あるいはある程度のダブルインカムの人たちも、持てるものから税金を取るという思想が財務省にある限り、社会保障の課題、少子高齢化の課題を先送りにしてきたツケが大きく日本に影響を与え、政治も混沌とし、そして経済的には日本が世界から置いてきぼりをくらい、観光立国をさらに目指すしかない状態。賃金の上昇より物価の上昇が早いので、売る方も買う方も躊躇してしまう状態が続くと思います。
新しく既得権益が壊れたりとかそういうことによって何か活性化したら面白いだろうという気持ちは半分あるものの、
かつ結婚式の業界や産業もさらに言えば、披露宴をするという行為も、どちらかといえば旧態依然としているので、マイナスの影響は受けるだろうと考えています。
披露宴数が減れば、パートナー企業も劣化していきます。お客様が挙げたら終わりで、フィードバックがかかりにくい。こういう状態が今年も来年も続いていくので、苦しいままどうやって自分の店や会社が生き残るのか目線があるので、ますます横串での盛り上がりはあまりないまま社の生き残りをかけた戦いっていうのが続き、媒体も生き残らないといけないってなり、自分たちにとっての正義をかざす人たちが増え、皆さんが牽制し合いながら仕事をしていく2025年になると思います。
─ これからのブライダルのマーケットで、どんなことをやっていくのがいいか
結婚式場運営においてはサービス業の技術や心の基本に忠実なことと、おしゃれやエンタメ力もしっかりしていて、そもそもの店のハードや商品特性を理解した上で、
そのエリアを理解して、長期的に戦い続けられる戦略を組むこと。来館特典は反対派がまだ多いですが、フォト婚や非実施層にも響くので、
結婚式場に足を運ばせるという意味では、ある程度あったほうが良いと私は考えます。
高額商品である披露宴を買うときのきっかけという部分は、憧れ感などを作りきれない会社は多少呼び水がないとわざわざ来てもらえません。
特に総数が足りないエリアでは、いろいろ決まっていない人への情報として、来店特典を付けてでも、自店に興味を持ってもらい、自分もお金を払い、「ご祝儀を払ってもらう」のにふさわしい状態の商品サービスが提供できる会場であると理解されることが大切になります。来ないと始まりません…
マーケや営業が生き残りをかけたときの本当の生き残りじゃなくて、見かけの生き残りっていう意味では、プレゼント婚はより増えてきます。
そうすると結婚式が当たる広告に遭遇したことがある人はどんどん増えていき、業界に対して冷ややかな視線を向けている人を除けば当たるものだとなってしまうので、
これまた能動的な一生懸命に結婚式を探す人は、今後も減ってくると思います。
─ 結婚式のトレンド面で注目は?
ゼクシィの広告にも韓国キーワードがもっと増えてくるかもしれません。
韓国ドレスやヘアメイクや韓国フォトも既にありましたし、SNS 上ではかなり目立つ状態でしたが、それがもう少し式場業界の広告にも表に出てくるような気がします。
あとはディズニーのファンタジースプリングができた影響からか、ランタン写真がすごく増えたり、フリーライド的なものも含め、そういった幻想的な感動とかはもう一回増えてきます。
それがさらに高度なビジュアル化をしてくるのかなと思います。
感情表現もビジュアル化され、そういった演出面も目で見てやりたいということは増えてくるので、分かりやすさっていう意味では動きを感じるや情緒的な写真はこれから増えてくると思います。
ビジュアルのトレンドは急に変わることはないのですが、例えば緑色にメッセージが乗っかり、かわいい緑やバランスの良い白グリーンや少し濃い緑など研究が進み、
また、数年前から進んでいますが、原色ではなく、何色とすぐに言えないバランスの色のドレスやクロスなども増えてきました。
さらに、何を撮るかだけでなく、納品写真の色味や光の差し方などでメッセージを出している感じなのは、今まで以上に増えてきているし目立ってきている。
また、2024年にいろんな会社が写真を撮り終わりました。その成果がまだわからない状態なので、その成果次第で動きがまた変わってきて、地域で序列が変わればそれが注目され、それがゼクシィに情報が行き全国に広まるってことがまた始まると思います。
もちろんゼクシィを経由しないでも情報は広まりますが、どういう打ち手が当たるのかが増えていく。ただ昔と違いページ数が少なくて逆転できるケースが少ないので、
人気のビジュアルと言えば結局6ページ、8ページやっているビジュアルで、2ページの店が真似して上手くいくかと言ったら何とも言えず、
とはいえ、多ページの大きなビジュアルは、ネット上でも大きく目立つので、そういったビジュアルがトレンドを加速し、25年は各社が追従しさらに磨かれてくると思います。
広告に関しても、とにかく結婚式をさせようとする情報をばらまくものが、検索広告だけでなく、CMやディスプレイ広告などのばらまき広告の割合が増えてくると思います。
その中にプレゼント婚もあるので厄介ですが、探している人を見つける広告よりもきっかけを作る広告がこれから増えてくると思います。
結婚式をやろうとする人が残念ながら減っている状況を考えると、結婚式を自らの意思できっかけ無しに探しに行く人が間違いなく減っていると思うので、
ここからの1年は、市場に対して仕掛けをし、動きを作り出す1年になると思っています。
─ 2025年のマインドセットの言葉
「蛙ではなく蛇になれ」。ブライダル企業はゼクシィや市場という蛇に睨まれた蛙になっており、萎縮してしまい何をしたら良いかわからないという企業が多いと思います。
そうではなく、睨まれて身動きがとれなくなるのではなく睨む方になれという意味でこの言葉を選びました。
また、蛇も蛙も子供の頃から形を変えたり、蛇は脱皮を定期的にします。これまでと同じ形ではなく、個人も組織も活性化して閉塞感から脱皮をして、市場を作っていく1年にしてほしいと思います。
ハードが古くてもいいから、きれいに掃除をする、手入れをする、ちょっとしたエ夫をする。
挨拶は元気にする、素直な気持ちでおめでとう、ありがとう、ごめんなさいが言える。
会社は組織の中で仲良く意見交換、喧嘩してでも握手できる関係性で陰口を言うのではなく、本気で結婚式をよくするために個人を磨くとともに、会社作り組織作りを皆でしてほしいと願っています。
<最新情報はウエディングジャーナルにて掲載中>