【WJ記事_09】自社集客のテクニックと考え方(2021/4/25,5/10_140号)

まとめてではなく、細かでスピーディーな情報発信

ゼクシィの調達コスト交渉のススメ ~媒体をやめてしまう前に交渉すべき~

自社集客を頑張りたいという会社が増え、主に取り組む理由は広告費を抑えたいということになるが、広告費の中で大きなウエイトを占めているゼクシィ調達コストはおまけなども含め、交渉すれば来店単価は下げられる。
従来、タブーと言われている領域ではあるが、いつでも交渉はするべきだと考えている。ゼクシィも集客に自信があれば値上げもあるかもしれない。
残念ながら、現状市場サイズが半分になり、1組あたりの単価も下がっている状況であり、ホテルや式場、ゲストハウスはゼクシィの印刷物やネットに載ることを買っているわけではなく、来店や成約を願って買っているので交渉したい気持ちはみんなある。
交渉した会場としない会場では、ゼクシィはプレッシャーを感じ、努力しないといけないと感じるはず。それは価格の努力か、原稿内容の努力もある。現状の費用対効果では、広告ビジネスに満足していないことを結婚式場が堂々と言わないと、ゼクシィの営業マンも本社も気がつかないまま、ただ単に回されているだけになる。
来店単価、ゼクシィシェア、本当は必要な組数をしっかりと押さえて交渉した方が、何となく効果がないからページ数を減らしたり辞めるよりはやってみた方が良い。

HPのパワーを上げるための自社ブログの装着 ~スピード感を持った発信~

コロナ前はクオカードがもらえる、ブライダルフェアでいいお肉が試食できるなど、色々な打ち手の中で、ゼクシィからHP、来館への直送(口コミサイトなどを見ずに直接予約が入ること)が可能だった。
しかし、コロナになり心配事も増え使える時間も増え、ぐるぐるとサイトを往復し、色々なものを見るようになった。
以前は、HPを確認しに来たときに素早く送客するには縦長サイトが早かった。色々知りたいことがあるとそこに載っているものを見るようになり、ブログのページなどが中途半端な内容ならむしろ来ない理由になるので、外すことを推奨していた。
しかし、それでは自社集客という観点では検索にかかりにくくなるし、かつ新しい情報をしっかり載せるにもHPを修正するしかなく、自分たちでちょっと集客が足りないという時にすかさず情報をアップすることに使う方が良い。 HPまで到達しているのに来店しない人たちを呼びこむために必要で、自社のバンケット、チャペルの営業トークをそのまま書けばライバルにばれる不安はあるものの、より検討中のカップルにアピールできる。
チャペルやバンケの写真以外にも、ソフト面も色々書ける。どういう挙式をしているかなど写真だけではインパクトのない人前式の中身や、来店前に心掛けること、成約者のための情報提供による、顧客ロイヤリティの維持もできる。
インスタはビジュアル中心で“宣伝”もしにくいので、インスタにちょっとだけ載せて自社ブログの方を詳しく載せるのが良い。

こういう時期だから小さなこだわりを素早く細かく発信 ~実例を出すことで信用につなげる~

パーティレポートを重たくやる前に、お客様(やプランナー)の小さなこだわりポイントをすばやく、細かく上げること。
アップする内容はコーディネート面、料理まわり、本人の衣装、わかりやすいブーケ、父母もしくはゲストとの何らかの仕掛け、コミュニケーション、メッセージ。
式場からの小さな小ネタサプライズのようなものを全部まとめて出すよりも、披露宴ごとにこういう小ネタが出るだろうというのを事前に想定し、速報で1つ、2つをその日か翌日に上げること。
結婚式が行われていることを発信し、結婚式を分解して小ネタをぽつぽつ出す。やれる店は是非お願いしたい。ウェルカムボードが素敵等ではなく、誰かが考えてやったことや、実はこんなこともありました等。
実際にやったことに信ぴょう性があがるので、それが出来る店はやった方が良い。このご時世でもそれなりに、おしゃれやゲスト想いや二人が気持ちを伝えられる場などが断片的に醸し出されることがポイント。

HPは広告などに合わせ最適化する ~大きく変えるよりも更新をしていく方がGOOD~

HPは戦略、広告を変えた際に、素早く変えることが大事。HPの更新に対して毎回稟議を上げ、その際に時間がかかるとずれる期間が発生する。ゼクシィとHPの内容がばらばらでは、仮にゼクシィ本誌、ゼクシィネットだけを見て直送した人も、予約した後もHPを見に来るので、来店キャンセルのきっかけにもなる。ゼクシィに最新のチャペルの天高を上げた合成写真なのに、もう片方は天高が低い写真のままなど、嘘や誇張、客層設定のずれが発生し、来ない要因になる。すごいホームページを一回作って、更新するのが大変なサイトにするよりも、多少シンプルでも更新しやすいものにしておく方が効果的。色々なサイトを見たときにマイナスになりそうなことを少なくするために整えておくことは重要。
また、時期限定のプランや新型コロナ対策など、お客様が過敏に反応する内容は特にタイムリーに修正する必要がある。
当社サービスのウェブサポであれば、定額制なので必要な内容はたいてい5営業日以内に変更している。ゼクシィのメインビジュアルの変更にあわせ全部変えたつもりが、背景にある挿絵を変え忘れるのが多く見られる。

Googleアナリティクスの考え方 ~打ち手でどう変化しているかをチェック~

Googleアナリティクスの分析をしている会場は多いが、WEBのプロが分析しても、これが必ずしも効果的かどうかは考える必要がある。
実は、結婚式場のウェブサイトは、新規のカップルよりも私たちのような業界関係者やゲストの方が見る人数が圧倒的に多く、新規来場者に絞ったアナリティクスの分析はなかなか難しい現実がある。自分たち使っているパソコンやIPアドレスの除外はできても、競合のスタッフが見たり、結婚式の招待されたゲストが一応見に来る方も多いため、分析は実質出来ないと考えた方が良い。
新規は1~2か月で結婚式を決めるが、成約者は半年から1年は積み重なっている。毎月他社情報を調べるプランナーもいる。営業をするために業者が知らべたりもする。ゲストは新規の何十倍もいる。当然招待状を見れば場所はわかるが一応HPを見て確認する人もいる。レストランもあればレストランの方のページビューも多い。ホテルもそうで、ほかの利用に飲み込まれる。その中である程度新規だとみなせるのは、ブライダルフェアのトップに来る人くらいで、一部競合もいるが、他のページよりもまし。
では、アナリティクスではどんなところを分析するかは、予約が入ったり、ブラフェアページに入った人たちの動きについて定量的なデータがあれば、新しい打ち手を打った時に変化を見ることが出来る。写真を差し替えた、ビジュアルを全体変えたりしたときに何か変化したかを見る。陥りがちなのは「HP診断」と言ってどこの離脱が多いなどは、ユーザーの特性を考えれば当たり前のことを見つけて指摘するケースがある。例えば、パーティレポートから離脱が多い、これは悪いパーティしかないからではなく、成約者はパーティレポートだけ見て離脱することもあるから。直帰が悪いことではなく、結婚式を検討している人は一生懸命見るが、検討が終った人やゲストがじっくり見る必要はないため直帰率が高いのは仕方ないので、変化に着目し、それは何かあったかを見ることに価値がある。

自社集客の考え方 ~いくら自社で頑張っても大都市では限界がある~

情報の多い大都市の会場では自社集客で発信を強化してもユーザーに届く率は高くない。しかし、田舎の会場であれば、自分たちでアップする量が多くなくても、地域で流通する情報量が少ないためある程度シェアされる可能性が高い。
見込み層へ媒体などを使いアピールし、せっかく自社HPやインスタに到達しても来館をやめないよう、がっかりしないページ構成、噂や広告の通りもしくはそれ以上だと思うような積み重ねがなければ、来店予約からのキャンセルが起こる。
また、自社で頑張って毎日1本SNSにアップするよりも、1つの結婚式に出たゲストに発信してもらう方が効率的です。若い友人や親族など使い慣れている人であれば、結婚式でなんらかのストーリーや感動があればアップするでしょう。アップの質は結婚式の質で上がってくるので、地域のコミュニケーションの中に入っていれば、そこに土曜日の午後を中心に閲覧され、名の通った結婚式場であれば、ブライダルフェアやゼクシィを見る前にちょっとしたインスタの連絡先から入ることがありえる。(※地域によっては、SNSにより、施工情報が流れることでバッシングを受けることもある)
現在、各社が自社集客にシフトしているのには集客コストを下げたいからというのがある。集客コストを一番下げる方法は、ずばり、新築、移転です。
極端な話ですが、自社集客、ゼクシィ集客関係なく、例えば大通りに面していますというだけでお客が来る。次はゼクシィなどへの媒体への出稿だが、減らしたとはいえ多くの会場では自社集客よりもコストを大きく掛けている。それなのに、自社集客の名のもと、細かい仕事ばかりして、月に何百万もかけているところの品質が落ち続けているのは問題で、こちらも忘れずに磨くべき。
自社集客では、SNS、検索にあったネーミングになっているかも重要。おしゃれなブランド感があるかどうかで同じ広告でも効果が変わり、インスタの世界であればハッシュタグでわかりやすい略称が作りやすいところや英語やフランス語もすぐにわかるような言葉の組み合わせの方が知られやすい。
また、自社集客の前に広報と広告の違いが理解されていればなお良い。広告はお金を出す分コントロールできる。広報は取り上げられる。その延長線上にSNSで紹介されるもある。
自社集客という言葉は古くからホテルなどではあり、広告を出すのではなく、どこかのメディアに接待して、載せてもらう。ニュースを作って新聞などで取り上げてもらうのも広報戦略。
ただ、お金をかけない広報は、タイミングや狙いと違う記事を書かれることも多く計算しにくいため、そこにパワーをかけすぎるのも正解とも言えず、一か八かである。もちろんやってみる価値はあるが…。

そもそも自社集客とは ~結婚式場が良くなければ悪い評価を広めることに~

広義の自社集客は1ゼクシィを除く、2ポータルサイトも除く、3お金をかけない、インスタ、LINE周りにお金をかけることがある。
業界でも自社集客と言われているが、そもそも自社集客には色々な形があり、店自体が記事にされるような店、人がワクワクする店、インスタされるような商品群などの体質に変えていく必要がある。
一言で言えばブランドだが、これはかなりハードルが高い。一番良いのはこれまでの仕事が評価され、ゲストや新郎新婦が常に紹介したくなるような式場であり続けられるかどうか。
今の状況に追い込まれてから、何かテクニックを勉強し自社集客を始めても、一定水準以下の式場はマイナスの評価をばらまくだけ。
自社集客の難易度は高く、全体のレベルをあげていくことが大前提。一方、媒体集客では、大都市圏では広告と見かけの口コミを磨けば誤魔化せるが、地方都市ではやりきれずリアルな口コミも含めボロが出る。
口コミサイトと同様に、自社集客をお金のかかる媒体に頼らないという意味で言えば、広告よりもこれまでの評価や結婚式など店の持っている力の差が如実に出てくる。
本来、自社集客をしたいと思ったら、商品、サービス、情報の伝播の仕方、来店きっかけづくりまで整理し直す必要があり、世の中で言われている「インスタを頑張りましょう」は点の話で、そこだけ伸びても全体最適の中では正解かどうかは疑問。

陥りがちなこと ~やりすぎるとかえってマイナスになる~

ブライダルフェアでもどんなネーミングが良いかを聞かれるが、短期的な視点では当然大胆なネーミングにすればそのフェアにはくるが、前後の客が減る。
このネーミングで一番怖いのは毎週毎週集客を増やすために、毎週毎週触り続けて壊れていくこと。ブライダルフェアについて仕事が増え過ぎており、追いつかないことが多い。本誌だと5大特典。ゼクシィnetだと10大特典。HPだと8大特典など、時期によっては色々あったりして、どの情報を信じたらいいのかユーザーがわからなくなってしまう。
これは自社集客、ゼクシィ集客関係なく、情報が一元化されていないことに問題があり、その場の思いつきで指示に従ってやると全部間違えるし、どんどんずれていく。
今は時速200キロで運転する技術がないのに200キロで走らせるようにしているので、運転技術を超えている。とにかく件数を増やせというのではなく、調整ができる仕事の仕方になっているか考える必要がある。時短社員も増えており、プランナーは休みが多いわりにマーケが休まない会社が多い。限られた資源の中で自社集客の比率が上がり、ゼクシィがないがしろになり、収拾がつかないことが起きている。
どこかひとつだけを強化するのではなく総合的にバランスが整うことが重要で、美味しい思いをしようとして都合の良いことをばかり書くと、俯瞰して見るとズレが見えてくる。
統括する人がいれば良いが、バラバラであるケースや統括する人がいても見きれないくらい部下がいる等、仕事の割り振り方の問題があることが多い。簡単にできるのは、ゼクシィnet担当が本誌とHPとポータルサイト、その他ポータルサイトのトータルチェックしていくこと。

何もしなくてもその店が持つ来店力 ~広告を出さずとも新規を集められる力~

そもそもの私の考える自社集客の言葉の中には、ベース来店という言葉がある。これは広告0の時にどれだけ客を呼べるかという店の力。
ベース来店がほぼ0の店もあれば、10~50くらいあるいう店もある。ベース来店が多い店は、特に名の通ったホテルやランドマークにある会場で何もしなくても来店がある。
そういうベース来店がある店でも、ユーザーは広告が掲載されなければ不安になる。コロナ禍の中で営業しているかは、結婚式は呼ばれるまでやっているかわかりにくく、広告やテレビ、CMに載っているかで確認している。 ベース来店の力は、立地、ブランド、通常営業の有無、過去の婚礼の評価、採用時のブランドづくりなど組み合わさって存在する。増幅させるのは不可能ではないが、0が1になるわけではなく、来ているものがもう少し増えるだけ。
ただダメなのは、プレゼントキャンペーンなどは、これから結婚式を検討している人たちが先に来るだけで、瞬間的には少し増えるが、地域全体が干えあがることが起こり、トータルの結果としてやらないよりましな程度になる。そこで売り上げ、利益も含めての大成功が続くことはない。

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