【WJ記事_22】大局を見て今やるべきこと(2026/2/10,25_204号)

ー POINT
披露宴のほうがお得に感じる“グラデーション“を作る

─ フォト婚などの広告により従来型披露宴の否定が強まる

いま起きていることを大きく言えば、業界全体として“全体を掴みにくい時代”になってきました。ゼクシィですら分業が進み、エリア全体を全部知っている営業マンが少ない。ゼクシィ役職上位の人は具体性が低くなり、大手担当の人は当然大手目線、一般会場担当の人は、エリアや業態などバラバラにいろんな店を見ている(ランダムに多数見ているメリットはある)。ここの横のつながりはあまり作れているように見えません。ブライダル業界も上場企業が増えた結果、情報管理を双方しっかりしてきた結果、過去のようにあいまいな情報管理の代わりに市場がなんとなくわかっていた時代から、統計データだけはわかりますが、リアルな動きがわかりにくくなりました。とはいえ業界が狭いから情報が集めやすい一方で、管理されることで“逆に分からないことが増える”という現象も起きています。結局、社内外にネットワークがあって横串で理解できる人、転職などで視野が広い人、常にマーケ特化で回している人、そういう人がいる会社は道を誤りにくい。ここが効いてきます。一方で、盲目的に信じて進めるパワーもまた必要で、周りに合わせて弱気になって進めない、という局面も確かにあり、どちらも真実です。
私が言いたいのは、大局を見て、自分の店周りを見て、現状と未来を同時に照らし合わせて今と未来のために、「今やらないといけないこと」を整理することです。そしてそれが未来の自社や市場への阻害につながるなら、多少やり方を変えてでも調整したほうがおい、という話です。未来だけ見れば資源を食いつぶすし、今だけ見れば未来が閉じます。夢物語の未来と、現実の今をつなぐ“途中段階”が存在しない会社が多い。私自身も含めて難しいところですが、途中のプロセス設計ができない。1年では無理、10年ではまったく見えない時代、3年〜5年くらいでしっかり設計したいのに、会計制度や財務体質、周辺産業の状況など、描いても思う通りにならないことが多いし、描けない人もいる、さらには薄々わかっていながら、ずるをしている人もいます。だから閉塞感が増しています。

─ ギフト券は呼び水薄い層をいかに本丸に繋げるか

今年の正月商戦は、1月だけ切り取れば平均値は前年超え、という見え方もあります。ただ、私の目の前のクライアントを見ても「多い」「少ない」ははっきり分かれていて、前年に近い数字で推移するケースが多い一方、冷静に見ると昨年、一昨年は1月より2月が多かった。さらに今年は1月31日が土曜日で、月の中に土曜日が“もう1回”入っている。土日祝の並び方だけで数字の出方は変わるので、前年超えが地力なのか2月の結果と合わせて見なければは、まだ断定できません。そして10〜12月が悪かった流れが1月に乗った割にどうか、という見方も必要です。地域差もあり、東京・大阪は前年並みに近いと言える一方、地方は前年割れが7割〜9割水準に見えるところが多い。正月商戦の総括として「下げ止まっています」とは言い切れない。2月の動きも、決して良いとは感じません。
 そしてこの構造をさらに動かしているのが、来店特典(ギフト券やディナー券など)です。ここは、好き嫌いで語れない局面に入っています。「来店特典が標準」になっているエリアは「うちはやりません」だけでは戦いにならない。圧倒的にワンステージ、ツーステージ上の店であれば別ですが、そうでないなら“市場のルール”に一定合わせざるを得ません。
 ただ、誤解してほしくないのは、ギフト券は「最後の目的」ではなく「入口」だということです。ギフト券の情報が流れてこないとフォトウエディングやカジュアルウエデイングの情報が中心だけになり、ギフト券の情報があると一応通常婚も比較的検討してもらえることがある。お金がもらえるかもしれない、という期待が行動を生む。これが良い悪いではなく、現実です。ギフト券で釣ってでも、結婚式も考えなさい、という“業界側の都合”が混じるのも事実ですし、だからこそ設計が雑になると一気に「回遊」だけが目的化します。結局、特典の入口で呼び込んだ層を、どう本丸に接続するか。ここができないと、ギフト券競争はただの消耗戦になります。

─ 都市部と地方で異なる動き

都市部は、ここに別の動きが重なります。自社内フェスタや、エージェントがより頑張る動きです。たとえばフェスタのように、複数会場を束ねて“少し手前のゾーン”を集めに行く。いきなり新規で集めるのではなく、相談導線の前段で受け皿を作る。正月はやりやすい月でもあり、フェスタはWeb広告と親和性が高いので、数自体は増えやすい。ただし、増えたら増えたで飽和してきています。最初は「いいとこ目つけましたね」だったのが、定番化すると“みんなやる”。同じコストをかけても前年より減る、ということが普通に起きています。
 一方、地方はもっとシビアで、フォト専業の広告が強く出る、格安婚のメッセージが強く出る、都市部の情報が流れ込む、そういう情報量の差で市場が壊れていく。また、広告だけでなく、SNS(特にスレッドやNOTEなど)でフリープランナーさんや写真屋さんなどの業界人がなかなか結婚式場の悪口を多く伝えていて「“通常婚”に対する否定のメッセージ」が強く出る。ここが本当に怖い。ゼクシィで頑張ること自体、私はまだ大事だと思っていますが、それ以外を何もしないと市場は分断して、ゼクシィの予約パワーが落ちている今、いろいろと安いほうに流れる力が強くなります。
また、マーケットの中で通常型の披露宴と会食や写真婚などの間に商品価格の連続性がないことです。フォトが安くて、フォト会食が異様に安くて、カジュアル婚は通常婚を否定し、通常披露宴が高い、その間の金額幅が大きく空いている。挙式+会食はなぜか安いのに、披露宴を付けた瞬間に“ビョーン”と上がる。プランナー自身がその価格差を“割高”だと感じてしまい、売り方が弱くなる。結果、お客さんにもそう伝わる。本来は、披露宴をしたほうが“お得に感じるグラデーション”を作れていたはずなのに、フォトや少人数やカジュアルに対して、目標をしっかり作ってしまい、その部分を各社が頑張りすぎ、その競争は対競合で競争があおられ、自社内の商品の設計が歪む。そしてフォトや会食などの部門が強くなりすぎると、さらに披露宴を否定する商品が強くなり、披露宴は減っていく。これは自社だけの問題ではなく、周りとの関係で増幅しているように感じています。
 今年は、再編はさらに続くと見ています。上場企業の数字が厳しそうだ、という話は表に出やすいだけで、表に出ていないもっと苦しい会社はたくさんある。こうした動きに加えて、ホテルは今年さらに婚礼離れが進むと思います。人員や組織図を見ても婚礼を諦めているホテルは増えてきました。ここで起きうるのが、委託先の変化です。ウェディングの現場に入り慣れた会社がホテルに入り、ホテル側が「収益性は諦める、好きにしていい」という契約になったとき、急にホテルが強くなる可能性があります。

─ 媒体構造が変化し今年後半から影響本格化

そして、媒体構造の変化として「お届けゼクシィ」が本格化するエリアが出てきます。現時点では3月下旬からが本番で、影響が出るのはこれからです。特定エリアで起こった結果が壊滅的でない限り、1年後には全国の地方に広がるし、逆に「想定より壊れる」なら止まるかもしれない。私は地方の話を数字だけで終わらせたくないと思っています。放っておけば都市集約は進む。結婚式は二人だけの話ではなく、ゲストが集まります。気づいたら、地元の人たちが大都市で挙げるのが当たり前になる。そうなると、地元に戻ってくる機会が減る。友人と飲む機会が減る。土日に街に人が出る、正月に出身者が戻る、そういう日常の“循環”が弱まる。誰がそれを考えるのか、と思うことがあります。式場は数字を合わせるだけの産業ではなく、地域社会に必要な産業でもある。その使命感を持ちながら、目の前の仕事も落とさない。ここは矛盾ではなく両立だと私は考えています。
 だから、式場たちにとっての今年の現実的な打ち手としては二つ考えたいと思います。ひとつは、圧倒的な結婚式場になりきること。そうすればギフト券競争にも巻き込まれにくい。ただし、良いコンテンツを作りすぎても単価が上がりすぎて「無理」と思われることもあるので、品質と価格のバランスは必要です。もうひとつは、回遊の中心に入り続けること。フォトがあろうが格安婚があろうが、通常婚の回遊導線の中に自社が入る。広告も商品もサービスも特典も、きちんと“セット”で用意する。嘘のないイベントで来店のきっかけを増やし、商談の機会を増やす。ここをやらないと、市場の分断は進み、限れたカップルの取り合いになります。ぼんやりカップルに、何かさせる、ではなく、披露宴を視野に入れてもらう努力をしてほしいものですししていきたいと思います。
厳しいです。正直、楽な話ではない。でも結婚式をやる人はゼロになっていない。やる人はいるし、狭間にいる人もいます。通信販売のポチで決まるのではなく、ブライダル業界にはリアルな“新規接客”の舞台があります。ここに逆転の余地が残っている。2軒、3軒、4軒回るうちにやる気が削がれるのか、やる気が上がるのか。それを決めるのは、最後は現場の営業設計です。ギフト券を入口にしてもいい。ただし入口で終わらせない。フォトを否定しない。ただしフォトで終わらせない。その設計ができる会社だけが、今年の前半を乗り切り、次につながる足場を作れると思います。できれば業界全体でやってほしいのですが、まずは動ける会社から披露宴の火を消さないようぜひお願いします。

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