【WJ記事_21】2026年婚礼マーケットでどう戦うか(年末年始特大号_203号)

ー POINT
ゼクシィの動きが26年の婚礼マーケットの動きを左右する

─ 1月商戦の位置付けとその後の動きを検証する

前回、2025年の振り返りをお話ししましたが今回は、2026年をどう見るか、そして「1月商戦をどう位置づけるか」を含めて話を進めます。

─ 1. マクロ環境:円安・インフレ・政治の影響

ざっくり言うと、2026年も(2027年も)結婚式場経営は「とても大変なまま」です。
円安とインフレは簡単には止まらない。株価は高く、円はまだ安いレンジにいる。輸入コストも食材も上がる中で、ご祝儀の3万円はなかなか変わらない。結果として、100万円持ち出しが200万円持ち出しになっているようなカップルも増えている。値上げできる会場と、できない会場のギャップはさらに広がる。値上げできない店は収益性が悪化する。値上げしても競争力が下がれば、そもそも件数が激減する。ご祝儀水準が変わらない限り(変わらないが)、このコストに耐えられない式場は増え続ける。
しかし、政治の面では、高市首相政権になって、子育て・財政・多様性まわりの舵取りが変わり始めている右寄りか左寄りかというラベリングはさておき、「結婚しない自由」だけではなく、「結婚して子どもを持つ自由」をどう支えるか、そこに目が向きつつあるのは事実だと思っています。うまくいけば、若者の負担(奨学金など)が少し軽くなり、可処分所得がじわっと増える。そうなれば、婚姻率を底上げするチャンスも出てきます。世代人口が減り続ける限り、大きな期待はできませんが、、

─ 2. 若者の結婚観の変化とチャンス

今の若い世代は、ネットや動画配信を通じて、恋愛リアリティーショーも含め、恋愛コンテンツは溢れています。そして美容やファッションにも投資します。ルッキズム的な側面もありつつ、「よく見せよう」という意識は高く、男女ともに「自分を整える」ことにお金を使います。そうなると、「人と人が惹かれ合う確率」はむしろ上がっているとも言えます。
問題は、その先の「結婚」「結婚式」に行き着く前に、経済的不安や社会構造がブレーキをかけてしまっていること。もし、政治や社会がそこを少しでも軽くしてくれれば、「結婚式をしたい」という土台は今よりマシになる可能性があります。長い目で見れば、ここはまだ希望が持てる部分です。

─ 3. ワールドカップ・WBCと「前向きな空気」

2026年は、冬季オリンピック、WBC、サッカーワールドカップといったスポーツイベントが続く「ワールドカップイヤー」です。スポーツイベントがあると、その月の数字が動かないリスクもありますが、結果さえそこそこ良ければ、国全体の空気は前向きになります。ウクライナ侵攻の継続や、台湾有事などの戦争リスクといった不安要素は消えませんが、ポジティブな話題が増える年でもあります。その「高揚感」を、婚礼業界がうまく利用できるかどうかがポイントだと思っています。脈絡のないJリーグさんなどとのコラボレーションも面白いかもしれません。

─ 4. 媒体・ゼクシィの行方と「お墨付き」の影響

2026年以降の環境を決定づけるのは、やはりゼクシィの動きです。3月から始まるお届けゼクシィのみの市場がどこまで市場サイズを保てるか。本屋・コンビニでの露出をどこまで維持できるか。各媒体の来店回遊の特典のルールをどうチューニングするか。ゼクシィや各媒体の料金改定・商品設計の見直しをするのか、メディア側の持続可能な体制だけでなく、媒体を購入するほうへの投資可能な価格体系の変更をやるのかやらないのかなどの動きにより、2026年以降の婚礼実施率が大きく変わってきます。
僕は、ゼクシィのことを敵だとは思っていません。むしろ、「結婚式のバイブル」として、本とネット両方を活かしてもらわないと、業界全体としても困るものだと考えています。バイブル的な役割(結婚式っていいよね、フェア行こうね、対面で話そうね)とアクションを促す役割(ブライダルフェアの啓もう、来店回遊などのキャンペーン)、この2つをちゃんと両立してくれれば、まだまだできることはあるはずだと思っています。

─ 5. SNS・動画・AI時代のマーケティング

2026年以降は、さらにTikTok×Instagramの同質化。ショート動画のGoogle検索への組み込み。AIによる情報の抽出や統合、人気ランキングなどの強制表示が進んでいきます。
AIが標準装備になってくると、「ネット上に転がっているテキストと画像」をベースに、会場の評価や比較が自動的に行われるようになる。そうすると、ホームページのコンセプトやコピー、レポートやコラムなどのテキスト資産、スナップ写真や動画のクオリティ、このあたりがすべて「見えないところで評価されていく」時代になります。逆に言えば、「現場の品質」が上がっていないのに、表面だけ飾ってもすぐバレます。本当に大事なのは、やっぱり現場のサービスと演出、料理と空間。そのうえで、「広告写真&動画」「現場写真&動画」、双方が大事になります。

─ 6. 1月商戦をどう位置づけるか:来年の対策

ここから、「1月商戦」について、です。すでにこの原稿を見ているときは準備は終わっているかと思いますが、1月の動きを見ながら26年度業績のための動き方を決めることになります。 ーーポイントは3つあると思っています。

(1)1月商戦は「出足」ではなく「年度の試金石」として見る

まず一つ目は、「1月商戦を単なる出足と見ない」ということです。これまでの感覚だと、「正月は出足が悪いのが当たり前」、「2月で戻せばいい」、「3月もなだらかだでそこそこ動く」となんとなく流してきたところがある。 でも実際には、正月商戦のときに出てこなかった分が、4月以降の低迷期、ゴールデンウィーク商戦の不振となって跳ね返ってきている。だから来年は、1月〜2月を「来年度(4〜3月)の試金石」として、ちゃんと数字を見ていただきたいと思います。 1月で何組、2月で何組、どんな属性が動いたのか、どの媒体経由で動いたのか、ここを冷静に振り返ることで、「4月からの1年をどう設計し直すか」が見えてきます。

(2)「悪かったらしゃがむ」という選択肢を、本気で検討する

2つ目は、「悪かったら一回しゃがむ」という選択肢を、本気で検討することです。これ、口で言うのは簡単ですが、実際にやるのは相当怖いです。でも、僕は以前から、こういう話をしてきました。ゼクシィで4ページ続けて撮影もしないくらいなら、1号2号ページ数を減らしてでも撮影した方が、次の号からの効果は上がる。今の数字のまま、ルールやビジュアルも変えずにズルズル続けるぐらいなら、正月〜2月の結果を見て、4〜6月のどこかで一度「ページや出稿を絞る」その分を「ビジュアル刷新」や「コンセプトの見直し」に投資するという決断も、ありだと本気で思っています。 もちろん、「毎月の広告を止める」ことの怖さはよく分かっています。それでも、「このままでは勝ち目がない」という数字がもう出ているなら、一回しゃがんでジャンプするための原資と時間をつくる。正月商戦の結果が悪かった会場ほど、そういう発想が必要になってくると思います。ずるずる節約をするのは一律立て直して不能になります。その際、広告の代わりに来店特典やエージェントとの取り組みを工夫することや、新規営業手法を見直したりすることなど、やることは多数あります。

(3)1月商戦後、4月からの「ルール・人・ビジュアル」をセットで見直す

3つ目は、「1月商戦のあと、4月からのルール・人・ビジュアルをセットで見直す」ことです。僕がよく話すのは、ルールを変えるのか(特典の出し方、条件の書き方、フェアの中身)、人を変えるのか(誰が接客しているか、誰が媒体を見ているか)、ビジュアルを変えるのか(写真の撮り方、見せ方)この3点を、セットで考えよう、ということです。 正月商戦の結果が、「出足だけ悪かった」のか、「構造的に悪くなっている」のかの見極めができれば、出足だけの問題なら、小さなチューニングで済みますが、構造的に悪いなら、4月以降に「全然違うこと」をやらないとダメだという判断もできるようになります。

─ 7. 業界再編・M&A・ハードとソフトの再設計

2026年以降も、M&Aや業態転換の話は増えていくと思います。新築が難しい分、リノベーション前提の買い上げや居抜き店舗買い上げ、不採算店舗を潰す前提での取得、ホテルと式場のコラボレーション、公共施設や再開発との複合案件は進んでいくでしょう。
ハウスウエディングにしても、2バンケ体系をやめて、披露宴会場を挙式にも使えるようにすることや、バンケットの汎用性を上げて、平日利用も含めたハイブリッド運営にするといった「構造の見直し」が求められる局面が増えていくはずです。

─ 8. 「愛のある一年」にするために

最後に、少しきれいごとっぽい話で締めます。2026年は、僕の中では「愛のある一年」にしたいと思っています。

ブライダル愛(この仕事を続けたいという意地と誇り)

技術への愛(写真・動画・文章・マーケティング・AIへの探究心)

人への愛(カップル、ゲスト、スタッフ、パートナー会社への尊敬)

ネガティブな情報やしんどい現実を直視するのはしんどいですが、それでも、「結婚式って捨てたもんじゃない」と言える現場を、まだまだ日本のあちこちに残したいと思っています。 そのためにも、正月商戦を「なんか毎年出足悪いよね」で終わらせるのか「ここから1年の計を立て直す起点」にするのかで差がつくと、僕は思っています。数字が悪いなら悪いなりに、「なぜ悪いか」をちゃんと掘って、ルールと人とビジュアルを変える勇気を持てるかどうか。僕自身も、この業界の未来のために、コンサルタントとして、2026年もそういう「変わる覚悟」がある会場さんや一人一組一組の結婚式のために、その積み重ねとしての事業の成長のために、その結婚式を通じての社会への正の影響を与えるために、一緒に進んでいけたらなと思っています。

<最新情報はウエディングジャーナルにて掲載中>

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