【WJ記事_19】新しい時代へ変化を(2025/10/10,25_201号)

ー POINT
毎月の改善とモデルの変化のテストを!

─ 自分たちで集客モデルを作る時代に

前回は、ゼクシィ以外のアナログのメディアを含めたお話をしてきました。ブライダルの世界で二十年以上の間でこれほど市場の構造が変わる時代はなかったと思います。ゼクシィをはじめとしたポータルサイトの存在感が薄れ、かつて“載せて当たり前”だった広告枠が、今では“残すか、やめるか”の議論になる。それは業界全体の縮小というよりも、「どう事業を続けるか」への模索期に入ったということだと感じています。
ゼクシィに出すことが必須でない時代、「ゼクシィに載っていない=閉店した」とは限らず、自社サイト、SNS、ポータルサイトでつないでいる式場も増えています。
きれいに撤退できる余力があれば閉じるけど、そう簡単には閉じられない。返済見込みのない借入を塩漬けにし、定期借地の期間、しぶしぶ延命していくしかない。建物の残存価値があるため、更地にするより、つぶせずに他社にただでも売ったほうが良く、だから、式場が減るスピードより、市場規模が縮んでいくスピードよりも、消費者が減っていくスピードの方が早い状況が起きているわけです。
結局、ゼクシィの力で支えられてきた時代から、その金額に耐えられない会社やゼクシィでの集客では足りない会社が、自分たちで集客モデルを作る時代に変わっているだけ。ゼクシィを磨きながら追加投資をする会社もあれば、ゼクシィへの出稿を「Iパック」のようなライトなプランにして「一応ゼクシィ上での存在は保つ」式場もあれば、完全にゼクシィを離れ、別の戦略にシフトする式場もある。重要なのは、どの道を選ぶにしても、「数字と納得感」で説明がつくことです。

─ 従来型の広告で成果を出す幻想は手放すべき

今のゼクシィ事業は、既存の顧客を大切にしながらも、市場に抗うより市場縮小前提の自社生産性重視の運営に入っているように見えます。とはいえ、ゼクシィ本誌のリーチは今でもかなり高いと思われます。ゼクシィ上での戦い方はまだまだあります。ですが、我々も“従来型の広告で成果を出す”という幻想は手放す必要がある。ゼクシィ内の市場で効果が出ない上に、ゼクシィ内での戦いに勝つ手が見つからない、次に試す手を打てばいい、打つしかない。パックUPと費用対効果を見て、見合わない場合は、反対にページ数を減らすか、別媒体を組み合わせるか、自社での他の広告を打つか。式場の状態によってどれが正解かは違うはずで、「実験できる環境を持つかどうか」が決定的な差になります。
同じ6ページを出しても、翌月だけでなく翌々月にも波及効果が出ることがある。逆に1ページに減らすと、ソート順が下がり、反応が鈍る。だから“メリハリ”よりも“継続”を重んじる傾向がゼクシィ側にもある。でもそれを続けるには体力が要る。結果が出なくても一定期間やり続けられる余裕があるところしか成果がでるかもわからないまま終わるのです。単発のパックアップ(P数アップ)は、何で結果が出たのか判別が困難です。
一方で、複数媒体を併用してテストする動きも出てきました。「ゼクシィを最低限にして他媒体を組み合わせる」「同じ予算内で配分を変える」「その分を来店特典に回す」──そんなやり方です。これも結局は実験。何が正解かは、やってみないと分からない面が多い。(私の中ではある程度は目算はあるが、失敗もある)大手チェーンなら1店舗で試して、結果を共有して横展開できる。でも中小はそうはいかない。だからこそ、テスト環境をどう持つかが問われていると思います。

─ 検索のカタチも今後変化していく

もう一つ注目しているのが、検索の形の変化です。ChatGPTのようなAIでの式場探しが浸透すれば、Googleの検索結果そのものが“チャット的”になる。ユーザーが「福岡で少人数婚ができる式場を探して」と入力すれば、AIが自動で式場情報をまとめてくれるようになる(すでになっている)。そうなれば、ゼクシィに載っているかどうかではなく、AIに引っかかる情報構造を持っているかが重要になる。現状、ゼクシィは式場ごとの紹介記事が少ないため、AIに拾われにくい側面もある。

これからはランキング記事や紹介コンテンツでの評価を上げて“読ませる構造”を持たないと、AI検索時代に存在感を保てなくなるでしょう。一方、写真中心の式場サイトも初動の引っかかりに弱くなる。画像検索が進化しても、文字情報に変換されなければAIは理解できない。つまり、「情報を文章で説明できるか」「情報が式場の序列の上位だと認識されるか」が、新しいSEOのようなものになるわけです。これからは口コミやレビューの積み上げも重要になりますし、自社HPなどの情報の整理整頓も重要になります。ブライダルにはヘビーユーザーが少ない(いない)分、体験を語る声の厚みが足りない。その空白を埋めるのが、プランナーやエージェント、そしてインフルエンサー的存在かもしれません。

ただ、彼らは中立ではなく、どうしても自己都合や契約上のしがらみがある。だから信頼性をどう担保するかが課題になると思います。私は、ゼクシィのブランド力がまだ強いうちに、「記事としての信頼」を再構築する動きをしてほしいと思っています。単なる情報掲載ではなく、“編集された言葉”として価値を持つ記事が、AI時代に選ばれるメディアの形だと思います。

1組呼ぶのに20万円でいいのか、50万円でいいのか。でも、そこに絶対的な正解はありません。私の考えのひとつは、「数字が合えば正解」です。どんな媒体でも、投資対効果を測り、実感として納得できるかどうか。ゼクシィを使う/使わないも、すべてその延長線上にあるだけです。しかし、広告費の高い業界が、良い商品を提供できるかは疑問です、適性を超えた時に市場ごと壊れていき、バランスの取れた良心的なカップルが、結婚式をしない選択肢をとり、熱狂的なカップルや、パリピだけが挙げる世界になってしまう恐怖を感じます。

─ 広告費を減らすなら新たな導線の設定も

ただ怖いことは、高騰する広告費用に辟易して広告をガツンと減らしたあとに“何もしない”こと。何もせずに数字が落ちて、「やっぱりダメだ」となるケースが多い。広告を減らすなら、同時に新しい導線を設計しなければいけない。SNS、口コミ、ブライダルフェア、ウェブ広告──選択肢はいくらでもあります。手を止めた瞬間に、市場との接点が切れる。そのリスクを理解したうえで、どう継続するかを考えることが大事です。エージェントとの関係構築もありますが、エージェント自体が弱くなった時の課題があります。自社のビジネスモデルを支える広告バランスが崩れた今、ビジネスモデルの再構築も求められる状態になってきています。ここは、広告担当では決められないところですが、、、ただ、マンパワーさえあればですが、まだできることは残っております。Googleなどの登録、noteやブログなどでの記事の再開、採用環境での広がり、ブライダル以外の商品でのブランド醸成、などわきを支える情報が自社のプラスになっているか今一度確認を。それができていない場合は、広告モデルでの逆転がやはり必要になります。ひとりひとりが発信元にもなる時代、社員、委託、業者、の発信力、発信者が味方になるような、事業ビジョンと実行力、発信メディアの選定と工夫、実は、今、大手中小の差以上に、自社、自事業、自店の実力が問われているのかもしれません。

─ 情報収集のルートもこれまで以上に多様化

お客様の求めるものも情報収集ルートも多様化しています。昔から多様化していましたが、探し方やタイミングがさらに広がっています。チャペルで探す人、利便性で探す人、自然で探す人、、、。付き合っている段階で検討する人、入籍後に検討する人、一生懸命探す人、広告が飛び込んできて考え始める人、親から進められる人、、、。すべてを取ろうとしても取れない。だから、どこを取って、どこを捨てるか。「呼ばない客を決める勇気」がこれからの時代には必要です。また、カジュアル婚の告知が増える中で、大切なのは、どんな価格帯でもそれなりの“体感価値”を生む工夫をすること。「安いけど、ちゃんと感動できた」と言われる結婚式を作れたら、それが次の時代の成功事例になります。高ければもっと良い!は当然あるべきで、それがないと安きに流れます。
ブライダル市場は厳しい状況になっていますが、それは“同じやり方で続けること”が終わっただけです。広告の形も、検索の仕方も、顧客の価値観も変わる。その中で生き残るのは、変化を受け止めて実験を続けることです。私自身も、毎号の出稿結果を見ながら、「次はどう試すか」を考え続けています。あえて動かないときも、少し動かすときも、大きく変えるときもありますが、大切なのは、結果に一喜一憂せず、自社の打ち手と周りの打ち手と環境と結果をしっかり見定めながら、仮説立てと検証とを積み重ねていくことです。

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